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書評 フィンランド人はなぜ午後四時に仕事が終わるのか

 私はとにかく日本的なシステムの中でコミュニケーションをとったり仕事を進めたりするのが苦手である。日本的なシステムとは例えば、なんの為に行うのか分からないのにミーティングを頻繁にしたり、仕事後のコミュニケーションとして飲み会などが行われたりすることだ。また日本企業では多くの場合1つのテーブルで密集して座って仕事をするオープンオフィスというスタイルがあるが、それも苦手である。そのような画一化して、無駄なシステムを前にするとやる気がなくなりストレスが溜まっていく。だからこそ、何か他の仕事のシステムを知り、自分の生活に活かしたいという思いから本書を選んだ。

 

 本書の著者は堀内都紀子さんは、フィンランドにあるユバスキュラ大学に留学をしたのちフィンランド系企業勤務を経て、現在はフィンランド大使館で働いている。本書は日本人である堀内さんがフィンランドの仕事スタイルを肌で感じ、日本とは違う特徴を捉えたものだ。

 フィンランドは幸福度世界一位ということで世界的に有名な国である。フィンランドの働き方は、日本とは違い残業がほとんどなく、夏休みも1ヶ月以上とる人が多い。在宅ワークをする人も3割以上と日本と比べると遥かに自由度の高い環境の中仕事をしている。それにも関わらず、GDPは世界でもトップクラスであり、国際的な競争力は高い。緩やかに見えるシステムの中でどうしてフィンランドは高い経済力を持つことができるのか。 

 その根底には、ウエルビーイングという考え方がある。人が人として生活するために必要な要素を守るという意識が国を挙げて高いのだ。だからこそ仕事以外のプライベートの時間を充実させることが必須なのだ。そのオンとオフの切り替えができるからこそ、高い生産性と創造性を持って仕事ができているのだ。

 夏休みを1ヶ月とることも、残業を行わないことも、それが直接効率性の追及に繋がり、さらには人々のストレスも減らしている。猛烈に残業をする人が、美化されやすい日本が学ぶべきことは多い。

 

 私が本書を読んで思ったことは、フィンランドの国民性、仕事のスタイルは私が無意識に求めていたことだということだ。私がフィンランドの仕事の仕方で共感したことを3つ書く

 1つ目は、徹底した会議の排除である。フィンランド人はとにかくプライベートの時間を大事にする。その為にも無駄な会議を無くす努力をするのだ。例えば会議を始める前に本当にこの会議を行う必要があるのかや、必要な人員の選別、会議の目標と時間設定、これらの事を徹底的に詰めてから行う。そして必要であれば場所もサウナで行うこともある。肩肘を張らずにリラックスした状態の方がスムーズに会議を進められることもあるからだ。その背景にはやはり効率という考えがあるのだろう。

 

 2つ目は日本でいう飲み会がほとんどないということだ。フィンランド人はとにかく個人のプライベートを大事にする。その為飲み会などを行うことは社員の時間を奪うことになるという発想があるのだ。私が以前働いていた会社でも頻繁に飲み会があったのだが、それがとにかくストレスだった。そのストレスがないというだけでも生産性が向上するだろう。

 

 3つ目は端的で効率的な会話である。フィンランド人は仕事中に無駄な会話を日本に比べるとしないそうだ。例えば日本では誰かに相談をするときに、アイスブレイクとして世間話をすることが多いだろう。しかしフィンランド人は要件が終わったらサッとその場を離れる。確かに世間話は大事だが、仕事中にすることではない時もある。フィンランドのやり方は合理的ではないだろうか。

 

 まだまだたくさんあるのだが、これらが印象的なことだ。やはりオンとオフの切り替えが徹底して上手いということがフィンランドの生産性にあるのではないだろうか。全員が残業をせずに、また夏休みを1ヶ月とる為に効率性を高め集中して仕事を行なっている。だから仕事時間が少なくても高いアウトプットができるのだ。その上プライベートも充実するから人間らしく毎日を過ごすことができる。全員が人間らしく生きる為にお互いの為に効率よく、お互いのやり方を尊重して仕事をしているのだ。

 日本では上司の顔色を伺ったり、みんなに合わせて行動したり、プライベートは寝るだけという人も多い。みんなに合わせると波風は立たないが、その結果過度なストレスや生産性の低下に繋がっているのではないだろうか。同じ地球上に残業を全くせずに、夏休みを1ヶ月とる人間がいるということが希望となるように思う。確かに日本の企業でフィンランド的なやり方をそのまま取り入れるのは難しい。しかし個人のできる範囲でもっと自分らしい生き方を提案していくことはできる。