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二都物語 フランス革命の中で翻弄される人間

 

 

 内容

  時代背景は、フランス革命の渦中にあるフランスとイギリス。主人公のチャールズ・ダーネイは、フランスの貴族中心の社会に反発してイギリスに亡命している。チャールズは18年間の間無実の罪でバスティーユ牢獄に投獄されていたマネット医師の娘である、ルーシーに恋をして結婚する。そんな中、フランスでは貴族の圧政に不満を抱く市民による革命が起こる。チャールズはかつての忠実な家臣が投獄されたという事を知り、助けるためにフランスに戻る決意をする。貴族が次々と虐殺される中でフランスに戻ったチャールズはどうなるのか。そして革命が起こったフランスはどのように歴史を紡いでいくのか。フランス革命という歴史の転換点の中で人々の中に眠る友愛や希望がどう動くのかを描いた作品である。

 

 感想 

 まず第一読後に率直に抱いた感想としては、フランス革命において平民がどれほどの憎悪を貴族に抱いていたかという事に改めて衝撃を覚えたという事である。貴族たちにとってすると、平民は虐げられて当然の存在であった。貴族の横暴のために、母親が殺され娘が暴行され、それでも抗議することはできない。税金は平民だけが払うのに政治における議決権はない。貴族は豪奢な暮らしをしてるのに、平民は飢えで苦しんでいる。そんな理不尽で不平等過ぎる状況が何世紀にもわたって続いていたのだ。そんな状況の中で平民は貴族への不満と怒りを増大させていき、革命につながった。その憎悪が拝見にあるからこそ、今度は貴族を虐殺するようになったのだ。逆にいうと革命という大転換はこれほどまでの憎悪があったからこそなし得たことだとも言える。

 そしてもう1つ印象的だったのは、チャールズの親友であるシドニー・カートンという男の存在である。カートンは弁護士だが、酒に溺れ努力をする事もなく毎日を堕落して過ごしている。そんな自分に自信がなく哀れんでいる。彼もチャールズと同様にマネット医師の娘であるルーシーに激しく恋をしていた。しかし、チャールズの恋は片思いで終わってしまう。そんな彼が最後に行ったのは自己犠牲である。フランスに戻り死刑を宣告されたチャールズの身代わりになる決意をしたのだ。それはルーシーのために命を捧げると決意していたからだ。かつては堕落して荒唐無稽な人生を送っていたカートンが最後の最後で、愛する人のために自己犠牲を行う。カートンは精神的な側面で復活を遂げるのだ。

 フランス革命というものを自分の人生の置き換えるならばどう考えられるだろうか。それは負の財産とは、自分を変革させる動力になるという事だ。フランス革命は長年の憎悪がなし得た事である。憎悪というエネルギーがあったからこそ革命はなされたのだと思う。そう考えると、自分を振り返った時に、絶望する経験はいつか自分の糧となるということのが言えるのではないのだろうか。だからこそ絶望すればするほどいつか人生の役に立てると決意する事が大事だし、そうしていかなくてはならないと思う。そんな事を二都物語を読んで思った。