自分のペースで

大好きな読書を中心に、日々の気づきを綴ります。 目標→100記事執筆

世に棲む日日 司馬遼太郎

   私は自分の悩みや不安を打ち消してくれるような痛快な小説が好きである。小説の中の主人公は世間の風潮に流されたり、小さな枠組みにとらわれたりしない。自分の信念を貫き、愛する人を守り、時には大胆に理想を現実に変えるべく行動する。昔から人目を気にしすぎて動けなくなってしまう癖がる自分にとって、憧れであり理想である。司馬遼太郎の世に棲む日々では、幕末の時代に自分の信念を貫き革命を起こした2人の男の生き様が描かれている。他人に後ろ指を刺されようが、不可能だと思われようが、死が待ち構えていようが、信念を貫く。この小説を読むと、自分もこんな風な生き方をしたいと強く思わしてくれる。

 あらすじ

  幕末期、明治維新の主軸の1つとなった長州藩。その長州藩吉田松陰とその弟子である高杉晋作を主人公にして物語は進む。前半は吉田松陰の生涯である。当時事なかれ主義であった長州藩は、吉田松陰という1人の男の思想によって最終的には倒幕主義に変わっていく。吉田松陰がどのようにしてその思想を形成したのか、そしてその思想をどうやって弟子に伝えたのか。松蔭は幕府によって処刑されるが、その意志は弟子によって引き継がれていく。後半は松蔭の弟子である高杉晋作を主人公にして進んでいく。松蔭の理想を現実のものにしたのは高杉新作の実行力であった。動けば雷のごとく迅速に、計画を実

行していく。松蔭亡き後、晋作が長州藩を指揮し時代を明治維新へと転換させていく。幕末という動乱期に自分の信念を貫き通した2人の男の生き様を描く。

 

 感想

 吉田松陰高杉晋作の生き様をみて、素直に思ったことはこれほどまでに凄い人がわずか150年前の日本にいたのかという感慨である。松蔭は友達との約束を守るためだけに禁忌とされていた脱藩をしたり、死を覚悟して外国船に密入国しようとする。それは決して自分のためではなく長州藩のためであり信念を貫くためであった。また高杉晋作もまた長州藩のため、また日本という国のために死を覚悟して突き進む。その行動力と胆力は今の日本人

ではなかなか持てないような凄まじさである。翻って私自身は、小さなことでクヨクヨして、決断せずに事なかれで暮らしている。自分の決断や進路など当時の幕末に生きていた人からするとなんと些細なことであろう。死を覚悟して奔走していた人たちなのだ。だからこそ大胆に動くし、時には禁忌だって犯す。もっともっと自分も大胆になれるはずだ。もっともっと勇気を持てるはずだ。そんな風に思った。