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トルストイ「アンナ・カレーニナ 第1巻」 誰だって一寸先には闇がある

 

 

アンナ・カレーニナ 1 (光文社古典新訳文庫)

あらすじ 

 「戦争と平和」「復活」に並ぶトルストイの三大巨編の内の一つ。ドストエフスキーは「芸術上の完璧」と称した。舞台は19世紀後半のロシア。既婚者であるアンナと青年将校ヴロンスキーはお互いに惹かれあう。またアンナとは対の存在となるキティは恋愛に挫折し、静養地に行く。不倫関係へと発展したアンナの人生が破滅へと向かっていく姿を通して、神の存在や人間の限界を問う作品。第一巻では、意に反してヴロンスキーと不倫関係を結んでしまったアンナが、絶望に苦しむ様子が描かれる。

 

感想

 約150年前に出版された作品だが、全く古くない。現代の自分でも共感できるような心理描写ばかりで驚きました。自分でも見落としているような気持ちやコンプレックスなどが、読んでいるうちに浮き上がってくるような気がしました。印象に残ったのは、アンナとは対の存在となるヒロインのキティが、静養地で傷病者を助けようとするシーン。そのきっかけは静養地で出会う、毅然と傷病者のために献身している友人のワーレニカに感動した事でした。しかしキティは次第に自分の行動に嫌悪感を抱いてしまうのです。自分の行動は無心からではなく、誰かに褒めてもらいたかったからだと。どんな時でも無心で献身するワーレニカに対して、キティは圧倒的な精神の差を感じてしまい、挫折感を味ってしまうのです。自分にとって想像もつかないような事をできる人や、精神的に毅然としている人を見ると自分もそうありたいと思ってしまいます。しかし現実にするためには相当の努力が必要であり、難しい。自分も同じように挫折感を味わた事があるので、共感して読みました。

 またアンナが不倫をしてしまう様子に、恋愛の力の強さとともに、その恐ろしさも感じました。何も不倫をしたくてやっているわけではない。出来れば避けたいし、倫理的に駄目だとも十分わかっている。しかしどうしようもない。その時の状況、立場、気持ちによってどうしても惹かれてしまう場合がある。だからこそ、自分なら大丈夫と思わない事だと思う。誰だって一寸先は闇がある。そのように感じて生きていく事が大事なのではないかと思いました。