自分のペースで

大好きな読書を中心に、日々の気づきを綴ります。 目標→100記事執筆

挫折したことに再挑戦

 もう一度プログラミングに挑戦することを決めた。2年前大学4年生だった私は、プログラミングの技術を身につけるためにIT業界に新卒で入社することを決めた。自分の夢はフィリピン、カンボジアで出会ったあの貧しい人々の力になることであり、そのためには具体的な力(技術)が必要だと考えたからだ。これからの時代はITの発展によりプログラミングの必要性も需要も益々伸びていくと考えたからだ。プログラミングの技術が将来どのように途上国支援で活かせるかはその時具体的にイメージができていなかったのだが、この道にまずは進んでみようと思ったのだ。

 しかし入社してから数ヶ月、私は早くも自分には向いていないのではないだろうか。という気持ちが浮かんできていた。私は銀行や企業の下請けを担う中小企業のSireに就職していた。その中で私がになっていたのは、既存のシステムに追加修正のプログラミングをすることだった。文系出身でパソコンを全く使ってこなかった私はプロジェクト内で取り交わされる会話に全くついていけなかった。プログラミングもわからなければ、エクセルの使い方やディレクトリの検索方法もわからない。上司からは「なんでこの会社入ったの?」と嘲笑されていた。簡単なバグも解決できず作業が頓挫すること、エクセルの打ち込み作業という単調さに嫌気がさしていたこと、上司のパワハラまがいな罵声に悩んでいたこと。自分はこの業界に向いていなかったのだと諦めの気持ちを抱えながら仕事に通っていた私は、気づいたら会社をやめる話を上司にしていた。志は高くIT業界に入社した私だったが、結局一年間で挫折してしまった。

 そして暫くは派遣バイトをして、日本各地を回りながら今後のことを考えようと思った。お金を貯めて、やってみたかったアフリカ縦断も良いな、バイクの免許とってツーリングしてみたいな、青年海外協力隊もやってみたいな。と色々な思いは湧いてくるのだがもう一つ気持ちが乗らない自分もいた。色々なことをやってみたいと思う反面、そんな事で良いのかという気持ちも湧いてきた。

 自分は本当はなにがやりたいのか。色々と振り返っているうちに、フィリピンに留学していた時のことを思い出していた。もともと途上国支援に興味のあった自分は、フィリピンに行き少しでも貧しい人の力になれればと思っていた。行けばなんとかなると思ってた。しかし、実際はそんな甘い考えが通用するわけがなかった。フィリピンには当たり前だが、その日食べるものも住むところも無く、なんとか命を繋いでいるという人々がいる。その人たちは周りの人から見て見ぬふりをされ、文字通りそこにいないかのように見られている。数センチ先に明らかに苦しんでいて、今にも死んでしまうかもしれないという人がいるのに誰も手を差し伸べない。それどころか誰も目を当てようとすらしない。フィリピンでは当たり前のことであり、そしてどうすることもできないからだ。そして最初はその光景に驚いていた自分も、次第に慣れていき同じように日常の一コマになってしまっていた。

 そんな時、いつものようにフィリピンの暑さを誤魔化そうとスムージーを飲みながら歩いていた。そうすると目の前から4人のストレートチルドレンが歩いてきた。私は少し身構えながら歩いていた。するとそのうちの1人の女の子が私の飲みかけのスムージーを見て、手を伸ばしてきた。私がスムージーを渡すと「Thank you」と満面の笑顔を向け歩いて行った。私はその時、たまらなく今の自分が恥ずかしくなった。私は日本という豊かな環境で優しい親がいて、美味しいご飯を毎日食べ、大学まで行かせてもらい、更には今フィリピンに留学までさしてもらっている。そんな恵まれた環境にいながら毎日毎日自分の状況に不満をもち、自分の課題から逃げて、炎天下に不平を言いながら冷たくて美味しいスムージーを平然と飲んでいたのだ。自分は一体何をしているのだろうか。なんのためにフィリピンにきたのだろうか。振り向くと女の子が自分から受けっとたスムージーを4人に分けながら歩いているのが見えた。

 自分はなんの為に恵まれた日本で生まれたのか。自分はなんのためにフィリピンに留学にきて、ストレートチルドレンの子供に出会ったのか。そのように考えていた。答えは出て来なかったが、その抱いた気持ちを絶対に大事にしようと思った。確かにその状況を知ったからといって今の自分に何ができる訳でもない。しかしそれで諦めてしまっては自分がフィリピンに来た意味がなくなってしまうと思った。今の自分ではその女の子に手を差し伸べることはできない。しかしその出会いを忘れず、噛み締め、活かすことはできる。自分にできることは無いともう悲観したく無い。だからこそ具体的な技術を、力を身につけて絶対にまた途上国支援に携わろうと思ったのだ。

 その時の思いが自分の原点であり、そしてそれを追求することこそが自分が今やるべきことだとおもった。やりたいことは確かに色々ある。しかしそれは今やるべきでは無いのかもしれない。一度挫折したくらいで諦めてはだめだ。挫折自体はきっと悪い事では無い。なぜなら挫折するほど、難しい山に登ろうとしている証拠だし、自分はそれに挑戦したのだから。だからこそもう一度プログラミング再挑戦するのだ。