自分のペースで

大好きな読書を中心に、日々の気づきを綴ります。 目標→100記事執筆

読書記録 「裸でも生きる」山口絵里子著

 読書をしていると、どうしようもなく心の奥を突き動かされるような衝撃を受ける本に出会うことがある。自分自身の中で目をそらしていきた気持ち、本当に追求したいもの、言葉にはできない気持ちがその本の中にあるからだ。本書は自分にとって数少ない心を動かされる本であった。

 本書の著者は「MOTHER HOUSE」というバングラデシュの素材を使ったバックなどの雑貨を製造し販売する企業の創設者である。山口さんがバングラデシュの貧困に体当たりでぶつかり、その思いを死にもの狂いで実現させていく様子を描いている。アジア最貧国という環境の中で、理想を形にしていく事の困難さ、人間不信になるほどを逆境にぶち当たりながらも必死に前進していく姿、そして日本とバングラデシュの多くの差異を乗り越えて思いを実現させていく姿。そしてMOTHER HOUSEは社会貢献という側面以上に製品の高い品質とデザイン性を評価され日本各地に出店している。

 山口さんはバングラデシュの人々から「君はなんでそんな幸せな環境にいながら、やりたいことをやらないんだ?」と問いかけられていると述べていた。私も大学の時フィリピン留学に行った時、同じことを現地の人々に問われているような気がしたのだ。土ぼこりで真っ黒になっているストリートチルドレンの女の子。コンビニの煌々とした明かりのすぐそばで、家族4人で身を寄せ合って眠っている人。ドロドロに濁った川で、ゴミを拾って家族を養っている男の子。それとは対照的に、自分は恵まれた環境の中でフィリピンに留学までさしてもらっている。なぜ自分は、フィリピンのスラムで生まれずに豊かな日本で生まれたのか。そして豊かな国で生まれながらも、いつも自分の置かれている状況に不満を抱き、すべき事を先延ばしにし日々を浪費している。もしもフィリピンのスラムの人たちが自分の姿を見たらどのように思うのだろう。理想ばかりが高くて、現実の行動が伴わない自分自身が嫌で仕方なかった。

 そんな中で山口さんは、豊かな国に生まれ選択肢がある自分の使命は「自分自身が信じる道を生き切る事だ」と結論している。私は今どれだけ自分の道を生き切れているのだろうと振り返って見たが、全くできていないと思った。いつも人からどのように思われているかばかり気にし、やる前からどうせ無理だと諦め努力を続けられない、まだ起きてもいない事を不安に思い動けなくなっている。そうではなく、不安でもわからなくても、目の前のことに全力投球できる自分になりたい。心からそう思う。