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燃えよ剣 信念を貫く土方歳三

あらすじ

 燃えよ剣は、言わずとしれた司馬遼太郎の代表作の中の1つである。新撰組の鬼の副長と呼ばれた土方歳三の生涯を描く歴史小説だ。幕末最強と恐れられた新撰組を組織したのは副長である土方歳三である。土方にとっては、幕末の動乱などどうでも良かった。ただひたすらに、自分にとって理想的な組織を作る事に全生命を注いだのだ。愛想を振り撒く事をせず、ただひたすらに自分の仕事を追求する姿。そして敗北を悟っても自分の信念を貫く姿を通して、司馬遼太郎は人間としての1つの理想像を描いている。

 

感想

 読後、土方歳三という生き方にとてつもなく憧れた。土方は全てを新撰組という組織を作る事に費やした。どんなに立場が悪くなろうが、どんなに劣勢になろうが、他人が裏切ろうが関係なく自分の信念を貫く。一貫してぶれない。それが司馬遼太郎の描く土方歳三である。

 自分もそのような生き方をしてみたい。自分の決めた道をただひたすらに進んでいく。何とカッコ良くて潔い生き方何だろうか。世間に流されず、信念を貫く。初志貫徹。言葉でいうのは簡単だが、実際にできている人はごく一部であろう。人間はその構造上流されやすいからだ。流されるのが当然だし、信念を貫けなくたって別に生きてはいける。みんなが流されているのだから。そもそも信念を持っていない人だっているのだ。でもそれでもこの本が根強く支持されるのは、誰もが心の中で歳三のように信念を貫きたい。自分の夢を追い求めたいと願っているからではないだろうか。

 自分も同じである。今まで初志貫徹できたことなどない。立てた目標はすぐに反故にし、世間の風潮に流されて進むべき道を見失ってしまう。初志貫徹できなかったからといって誰も批判はしないし、目立ったリスクはない。だから気づいた時には、何事も成し遂げられていない自分がいる事に気が付く。悔しさ。後悔。だから歳三のように生きてみたいと思う。

 なぜ歳三は信念を貫けたのか。自分はその理由として立身出世に興味がなかったからだと思う。歳三は幕府の要人になろうとも、見返りが欲しいとも考えなかった。ただひたすらに自分の決めた仕事を貫徹する事だけに興味の全てがあった。だから他人から疎まれようとも、立場が危うくなろうとも、そして社会的な成功の見込みがなくても、信念を貫けたのだ。社会は時世により常に変化する。そして他人もそれに合わせて変化する。従って変化するものに合わせると信念なんて貫けない。しかし、自分の決めた道をただひたすらに追求するという事は、何事にも影響されない。だからこそ信念を貫く為には、常に自分自身の内面に目標を設定し、自分軸でいなくてはならない。歳三は常に自分のなかに生きた。だから最後までぶれなかった。

 自分も歳三のように信念の中に生きる人間になりたい。ただひたすらに自分の決めた道を追求する為に生きる人間でありたい。人から評価される為に何かをするなら、継続なんてできない。時世によって移り身をし、他人の意見によって道を変えてしまうだろう。

 信念を貫く為にできる事は何だろうか。

 ①手にする情報を減らす事(情報化社会のデメリットを意識する)

 ②劣勢の時に諦めない事

 ③成功を目標にしない事(成功の定義は時世によって変わるから)

 

 歳三の生き方は1つの理想像である。理想だからこそ、そうはなれない。でも近づく事はできると思う。このように、前向きに生きる要因を作ってくれただけでも、この小説が名作であるということが分かる。